五月雨 

[  2022年6月1日   更新  ]


      “Mastery for Service”
        “幼子はたくましく育ち、
         知恵に満ち、
         神の恵みに包まれていた”

         

 「五月雨」と書いて「さみだれ」と読みます。また、「さつきあめ」とも読みます。「五月雨」は文字通り5月に降る雨です。でもこの5月は、旧暦(太陰暦)での5月です。今の暦でいうと6月ごろになります。従って「五月雨」=「梅雨」ということになります。5月は「五月晴れ」と言われるぐらいさわやかな好天が多く、その合間に降る雨を「五月雨」というのかなと思われがちですが、実は、梅雨時のしとしと降る雨のことを指すのです(最近では豪雨も多いですが)。「五月雨」は俳句の夏の季語になっています。

 五月雨を 集めて早し 最上川  

と、松尾芭蕉の有名な句が、「奥の細道」の中で詠まれています。最上川は日本3大急流と言われ、流れがきつい川です。芭蕉は山形で句会があったのち、船で最上川を渡っています。きっとその時の川の流れの速さに驚き(もしかしたら恐怖?)を感じ、この句を詠んだのではないでしょうか。

 五月雨や 大河を前に 家二軒

これは与謝蕪村が詠んだ句です。梅雨時の雨で増水した大河のほとりに、ぽつりと家が2軒よりそうように建っているという句です。蕪村はもともと画家でした。50歳を過ぎてから、芭蕉に憧れて俳句の世界に飛び込んだ人です。文人画家らしく、その光景が目に浮かぶ素晴らしい句だと思います。
 日本には四季があります。四季折々の自然の風景があります。芭蕉や蕪村の俳句にあるように「五月雨」という言葉にも今の季節の情景が浮かんできます。日本の四季の良さを思う気持ちを忘れたくないですね。ちなみに私は「五月雨」と聞くと村下孝蔵さんの「初恋」という曲を思い出します。なぜなら歌詞の最初が「五月雨は緑色・・・」と始まるからです。いい曲でしたよね。