目に(は)青葉 山ほととぎす 初鰹 

[  2022年5月9日   更新  ]


      “Mastery for Service”
        “幼子はたくましく育ち、
         知恵に満ち、
         神の恵みに包まれていた”

         

 「目に(は)青葉 山ほととぎす 初鰹」という俳句があります。江戸時代前期に活躍した俳人、山口素堂の俳句です。あの松尾芭蕉と交流があった俳人です。ちょうど今の春から夏にかけての季節を表しています。季語は「青葉」「ほととぎす」「初鰹」の3つです。これは夏の季語です。この句を現代訳しますと「目には初夏の青葉がさわやかに映り、耳にほととぎすの鳴き声が聞こえ、食では初物の鰹が食べられる素晴らしい季節です。」という意味になります。一つの俳句に季語が3つもあるのは、季重なりといい、普通はタブーとなっています。しかし、この句は初夏のさわやかさを、目・耳・口という五感で伝える新鮮さがそのタブーを上回っています。素晴らしい句と言えるでしょう。「プレバト!!」でいうと永世名人級の作品でしょう。梅沢永世名人や夏井先生もびっくりです。
 この句は江戸っ子に好評でした。特に初鰹が江戸っ子はお気に入りです。鰹はこの時期に黒潮に乗り関東沖を北へ回遊します。これが初鰹です。逆に秋になると東北から関東沖を通って南へ下ります。これを戻り鰹といいます。どちらもその季節の旬の食べ物です。しかし、初鰹は高級品です。今の価格で30万円ぐらいしたそうです。それでも江戸っ子は借金をしてでも、初鰹を食べました。それが江戸っ子の粋とされ、まわりから喝さいをあびたといいます。関西人には考えられないことです。要は「ええかっこしぃ」なんですね。でも今はそんなに高くなく、リーズナブルな値段で買えます。鰹のたたきはおいしいですよね。
 初等部の木々も青くなり、ほととぎすの鳴き声は聞こえませんが、ひばりやシジュウカラ、セキレイなどの野鳥のさえずりが聞こえます。子どもたちの制服も冬服から合服へ、気の早い子は夏服へと変わってきました。心なしか子どもたちの顔も冬より明るく見えます。なんだか、朝、校門に立つのが楽しい毎日です。