ボランティア 

[  2021年9月1日   更新  ]

 

      “Mastery for Service”
        “幼子はたくましく育ち、
         知恵に満ち、
         神の恵みに包まれていた"

         

 今年の夏休みは東京オリンピックで日本選手が活躍し、史上最多のメダルを獲得しました。
パラリンピックは今も開催中です。その一方でコロナの感染が拡大し、台風や土石流など自然災害も目立ちました。
ところで、オリパラと自然災害には、ある共通のキーワードがあります。それは「ボランティア」です。
オリパラの運営も災害からの復興もボランティアの支えなしには成り立たないのです。

 みなさん、「尾畠春夫(おばたはるお)」という人を知っていますか?
どこかで聞いたことがあるような、ないような・・・?
3年前、時の人になり、ニュースやワイドショーに連日取り上げられました。
そのきっかけは、山口県周防大島で2歳の男児が、行方不明になった事件で、
捜索にボランティアとして参加し、探し出してわずか20分で男児を発見した人です。
みなさん思い出しましたか?
それ以外にも災害地のボランティアに必ずといっていいほど参加している方です。
スーパーボランティアと呼ばれている当時78歳のおじいちゃんです。
尾畠さんがボランティアに使う道具や食料などはすべて持参しています。
自分の車に寝泊まりし、被災者にはいっさい迷惑をかけないという本当にボランティアの鑑のような方です。
では、なぜ尾畠さんはここまでのことができるのでしょうか?
尾畠さんの生まれた家は貧しく、子どもの頃、農家へ奉公に出され、たいへん苦労をされたそうです。
初等部の子どもたちと同じ小学生ぐらいの年齢だったそうです。
建設作業員を経て、鮮魚店(魚屋さん)に勤め、のちに念願の自分の店を持ちました。
そして、40歳から近くの山を登山するようになりました。ただの登山ではありません。
人々が歩きやすくなるように登山道を整備したのです。これが、小畠さんのボランティア活動の始まりです。
ところが、65歳になると繁盛していた鮮魚店をスパッとやめます。そして66歳の時、日本列島を歩いて縦断します。

 「学歴もない、何もない人間だが、65歳で鮮魚店をやめて残りの人生を社会にお返しさせてもらおうと思ってきた。」
と、ここからボランティア人生が始まります。尾畠さんを突き動かしているのは「感謝」の気持ちです。
本当なら、幼い頃に奉公に出した親を恨み、働いても働いても貧しいことを世間のせいにして、
ひねくれた人生を送っていてもおかしくありません。なのに、尾畠さんは、どんなことも人のせいにせず、
常に感謝の気持ちを持って生きてこられたのです。めちゃくちゃかっこいいと思いませんか?
これこそ真のかっこいいではないでしょうか。
それにひきかえ、私たちはどうでしょうか?ちょっといやなことがあったり、うまくいかなかったことがあったりすると、
すぐに人のせいにしていませんか?世の中が悪いと思ってすねていませんか?これってかっこ悪いですよね。

 みなさんには(私も含め)、尾畠さんの人生から真のかっこよさを、真のボランティア精神を学んでほしいと思います。
尾畠さんのボランティア人生は、Mastery for Serviceの体現に通ずるものがあるように思えてなりません。